公正証書が執行力(=強制執行できる)をもつために、乗り越えなくてはならない「6つのハードル」
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公正証書を作成しただけでは強制執行できない
(=公正証書が執行力を有しない)
ということは他のページ※1で解説しました。
※1公正証書のよくある誤解
※1元裁判官 弁護士が語る公正証書の重要性と知られざる実態
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子どもの育成過程に悪影響を及ぼしかねない公証役場を選ぶことの重要性 |
当事者としては、
公正証書を作成しておきたい最大の理由は、執行力への期待です(万が一の強制執行)
しかし、どこかで間違えば、執行力を有しない公正証書になってしまう。
そこで、本ページでは、
安易な公証役場選びが、
危険な理由であることをご自覚いただき、
公正証書が執行力(=強制執行できる)をもつために
乗り越えなくてはならない「6つのハードル」
を説明していきます。
「敵を知り己を知れば百戦殆うからず」という故事があります。
まずは、どのような「ハードル」があるか、知ることから始めてみましょう。
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公証役場(公証人の法解釈など)により公正証書への記載を(認める/認められない)という問題が生じるのは必然 |
公正証書を作成するに当たり、どこで、作成すべきか。
いわゆる「管轄」という概念がありません。
それは、全国どこの公証役場で、
公正証書を作成しても良いということを意味します。
しかしながら、
法で規定されていないもの、判例すら存在しないケースにおいて等では
公証人の間で、法解釈や、家族観次第で、
見解が異なることは至極真っ当なことだと考えられます。
結果として、たとえ
夫婦間で合意した内容であっても
公証役場(公証人)によって
公正証書に記載を認める(公正証書に明記できる)/認められない(明記できない)
という問題が生じるのは必然です。
すなわち、同じ合意内容であったとしても
極めて些細な部分
(=専門家でしか気づき得ないレベル、なおかつ、極めて重大な事柄において)
公正証書の内容や趣旨に違いが生じてしまうこともあり得ます。
(解釈の違いは、公証人手数料に差異が出ることもあります)
ですから、一般的な内容(類似事例が豊富)ならともかく、
特に、レアケースの公正証書などでは、
法律的に有効であったとしても、
公証人の法解釈次第で、受け付けてくれなかったことが過去にはあります。
▶【ハードルⅰ】
どこの公証役場を利用するか
どこの公証役場を利用しても良いと言えるわけではない、
ということに尽きます。
「ご自宅、勤務先の最寄りの公証役場」
の選択が必ずしもベターとは限らない
公正証書ほど重要な書類を作成するのに
「ご自宅や、勤務先の近く(そのほうが便利だから)で手続きをしたい・・・」
お気持はわかりますが、その思考から、どこで手続きをするのが
子どもにとってベストなのか、という考え方にシフトしていただきたいです。
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とても大事な「送達(そうたつ)」と
「執行文(しっこうぶん)」の問題 |
公正証書だけでは、強制執行できないことは、先に申し上げました。
加えて
「送達証明書(そうたつしょうめいしょ)」
「執行文(しっこうぶん)」
という2種類の書類がないと、強制執行の申立すら出来ないのです。
▶【ハードルⅡ】
公正証書をどのようなロジックで構成しているか、
そこに問題があれば、そもそも、公正証書作成とほぼ同時に
「送達証明書」「執行文」を付与してもらえない可能性がある
実際に、拙書『子どもの幸せを守る円満離婚のカンドコロ』 P96で述べた
「3点セット①~③」(①公正証書正本②※1送達証明書は
ともかく、未払いにならないと
③※2執行文を付与しないという公証役場が現に存在しました。
※1 送達とは、相手(養育費等の支払義務を負う者)が
現実に受け取りましたという証明書(養育費を請求する権利がある者の申立により
公証役場が交付する)のことです。
ただ相手の郵便ポストに入ればいいというものではありません。
※2 「この公正証書で強制執行できますよ」という公証人のお墨付き文のような文書。
▶【結論】◀
手続き先の公証役場次第では、依頼者の希望どおりにはなるとは限らない。
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離婚時に「公正証書作成」と同時に「執行文付与申立」を行わないリスク
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以下は、あまり語られていませんが、非常に重要です。
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いざ、強制執行をしようと思い立ったものの
肝心の「執行文が付与」されていない。
このようなケース、どのようにすれば、良いのでしょう。
▶【ハードルⅢ】
(1)離婚時に出向いた公証役場に対し執行文付与の申立をする
実は、公正証書作成手続時に出向いた公証役場に
執行文付与の※申立ををする必要があります。
ただし、
(2)執行文付与をした後 【送達】という手続きをする必要があります。
郵送での送達申立を認めるのか
または、公証役場まで出向くき、
それとも、民事訴訟で当事者の申立に基づかずに、
裁判所が職権で送達を行なう職権送達主義を採用するのか、不明瞭である。
※令和4年1月1日から、執行文付与申立が郵送によってできるようになりました。 また、申立は必ず「書面」でしなければならないと法律上、定められています。
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強制執行されるかもしれないと相手方(債務者)に動きを察知されるリスク |
▶【ハードルⅣ】
【送達】のタイミング
強制執行をする間際になって
公正証書をいまさら、送達していては
こちらの動きを悟られて、財産を隠される可能性があります。
すなわち、将来、強制執行するかどうかにかかわらず、
公正証書作成と同時に、相手方に送達するよう、
公証役場に申立しておくことが肝心です。
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執行文付与の要件を充たしているのか |
▶【ハードルⅤ】
執行文付与の申立にあたって揃える必要がある書類(=証明資料)の問題
公正証書作成時の状況と、
現在の状況の変化、公正証書に書かれている内容によっても異なります。
また、どの書類を揃える必要があるか
公証人によって、その考え方・解釈に違いがあることも
よくある事実です。
▶【ハードルⅥ】
執行文付与の要件を満たしているか
執行文を付与するか否かの権限は公証人です。
ですので、そもそも執行文付与の要件が満たされていないと判断されれば、
付与されないケースもあり得ます。
▶【結論】
公正証書作成と執行文付与申立を同時に行えるように
「公正証書の原案作成中」から あらかじめ、
執行文付与のことを見据えて、ひと言、ひと言だけにとどまらず、細部にわたって緻密に文章を書くこと、及び論理構成をしておくことが必須 です。
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(補足)プライバシーの問題 |
依頼者が、公証役場に出向き、公正証書に署名捺印する段階において、
公証人は、依頼者の面前で、
「読み聞かせ」(公正証書の全文を読むこと)
または「閲覧」をすることになります(公証人法第39条)。
離婚の公正証書とは、
極めてプライベートな内容であり、
第三者に聞かれたくない性質のものです。
ですが、公証役場によっては、
「ついたて(パーテーション)」1枚で、
隣のお客と区切られているだけのところもあり、
実際に、読み聞かせをするときに、
公正証書の内容が
漏れ聞こえてくることがあります。
なお、私がお世話になっている公証役場では、
そのようなことにならないように、
プライバシーへの配慮が行き届いております。
たとえば、そのうちの一つは、
公証人による「読み聞かせ」は行わず、
「閲覧」のだけの公証役場もあります。
この方法であれば、公正証書の内容が他人に漏れ聞こえる心配は無用です。
また、別の公証役場では、
公証人による「読み聞かせ」及び「閲覧」いずれも行う、
別の公証役場では、個室を設けており、外部からの音が遮断されています。
プライバシーに対する最大限の配慮が行き届いているおり、
信頼のおける公証役場だと思います。
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当事務所は確実な公正証書を依頼者に提供するため
利用する公証役場を厳選しております |
勿体ぶっているつもりは毛頭ないですが、
「ここの公証役場であれば、間違いない」とお伝えしたいところです。
ですが、公証人の退官
(定年は70歳ですが、定年を待たずに退官される方も
いらっしゃいます)や、お亡くなりになったケースもあり、
こういった場合、
後任の公証人の裁量(家族観など)や、法解釈によっては、
公正証書に明記される(明記されない)文面や、
手続きが変更される可能性は否定できません。
(実際に、経験しております)
ですから、一概には、申し上げられないことをご理解いただければ幸いです。
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お電話での口頭による誤解、行き違いを防ぐ為、
お申し込みはEメールでのご対応とさせていただいております。
誠に恐れ入りますが、ご理解とご協力を賜りますようお願い申し上げます。
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行政書士高橋法務事務所
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