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【特別インタビュー】元裁判官(当時最年少)弁護士が語る一般の方には知り得ない公正証書の実態とは

本日は、元裁判官で現在は弁護士の白川敬裕先生に、「公正証書の重要性と、一般の方には知り得ない公正証書の実態」について、お話をうかがいました。白川先生は最年少(当時)の24歳で裁判官になられ、数々の重大事件に関わってこられました。
現在は、東京都内に法律事務所を構え、弁護士として、ご活躍されています。今年の4月には、ご出版をされました。

■プロフィール■

白川敬裕(しらかわ たかひろ)弁護士(東京弁護士会所属)
1975年 福岡県北九州市生まれ。東京大学法学部卒。大学4年在学中に司法試験に合格。2年間の司法修習(52期)を経て、最年少(当時)の24歳で裁判官に任官。裁判官任官後、民事訴訟、医療訴訟、行政訴訟、刑事訴訟等に、左陪席裁判官として関わる。民事保全、証拠保全、民事執行、破産、令状等も担当。2003年、転勤の家族への負担を考え、弁護士に転身。中小企業の総合法律援助の他、多数の民事裁判を手掛ける。著書に『ビジネスの法律を学べ!!』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)『本物の勉強法』(ダイヤモンド社)他。

白川先生の著書
『本物の勉強法』

もくじ
  1. 1.  離婚裁判には短くても半年、標準では約1年かかってしまうのが現状
  2. 2.  裁判と比較した公正証書の1番のメリットは、精神的ダメージが避けられること
  3. 3.  なぜ、文言が曖昧な公正証書ではいけないのか
  4. 4.  公証役場できちんとした文章に直してもらえるとは、期待し過ぎないほうがいい
  5. 5.  高橋先生の公正証書は具体的。漏れによる想定外のトラブル防止に非常に配慮されている
  6. 6.  離婚専門の行政書士に頼むメリット

離婚裁判は短くても半年、標準では約1年かかってしまうのが現状。

白川先生は、元裁判官とお聞きしています。裁判官時代、どんな事件に携わってきたのですか?

最初の2年間は、千葉地方裁判所の刑事部に所属しておりました。殺人事件など、重大な事件に係わることが多かったです。男女間でのもめごとから殺人に発展する事件や、義理の父親が子どもを虐待して、殺害に至るという、傷害致死事件も扱ってきました。

いくところまでいくと、そういうことになってしまう。というのを、男女問題でも、親子の問題でも、感じさせられた2年間でしたね。3年目は、山形地方裁判所の、民事部に所属しておりました。

離婚裁判は依頼者にとって精神的に負担が大きいイメージがあります。

私も、以前は、離婚裁判に携わっていましたが、残念ながら、裁判では、精神的ダメージは必ずあると言っていいと思います。

依頼者のために、我々も、相手方の悪いところを指摘するようなことをやらざるを得ないんです。例えば、離婚したいという依頼者であれば、離婚するためには、相手方を非難しなければいけない。逆に、相手方から離婚したいと言われて、こちらは離婚したくないということであれば、相手が間違っていると主張して闘わざるを得ないんです。

ですので、依頼者もかなり精神的な負担になりますし、我々も、心を痛めながらやるっていうことが多かったですね。裁判中、うつ状態になる依頼者は、残念ながら多かったですね。

離婚裁判は、時間的にどのくらいかかるものなのでしょうか?

短くても半年はかかります。判決まで行く場合ですと、標準的に、1年近くかかります。途中で和解になるにしても、半年から1年というケースが多いですね。

なぜそんなにかかるかと言いますと、まず最初に、離婚の理由などを書いた訴状という書面を裁判所に出します。そうして、訴状を出してから第1回目の裁判日までに、2ヶ月弱ぐらいかかったりするんです。これは、相手が反論する準備が必要だからなんですが。

そうして1回目の裁判が開かれて、その後は1ヶ月毎ぐらいに裁判が行われるんですが、お互いの言い分を整理していくうちに、半年くらい、すぐ経ってしまうんです。途中で、裁判官が和解の努力をするなどしていると、また1ヶ月、2ヶ月と過ぎていきます。和解に応じない場合、裁判官は和解は無理と判断し、「じゃあ判決にしましょう」となります。

そうするとその後、尋問というのをやるんです。お互い法廷に出てきて、それぞれの弁護士が質問して裁判官が質問する、証人尋問や本人尋問をやる。そうやっていると、ここまでで9ヶ月くらい経ってしまいます。

さらにそれから、判決が言い渡されるまで、2ヶ月くらいかかってしまいますから、トータル1年くらいはかかってしまう。その1年間、依頼者は辛い思いをしなければいけない、というのが現状です。裁判に負けた方が控訴をすると、また何ヶ月も裁判が続くことになります。

裁判と比較した公正証書の1番のメリットは、精神的ダメージを避けられること。

公正証書ではないものの、当事者の間だけで一応、「離婚協議書」を作っておいた場合は、どうでしょう?

もちろん、離婚協議書を作らないよりは、作っておいた方が断然良いことは間違いありません。裁判で、これを証拠として、使うことができます。

ただ、裁判で、相手が「そんなものにサインして捺印した覚えはない」と反論してきた場合は、「サイン、捺印が相手によるものである」というところから証明する必要が生じます。その際、「このサインは、明らかに相手の筆跡だ」と主張しても、相手から「自分のサインに似せて書いたに違いない」などと再反論されるかもしれません。

これに対し、公正証書は、離婚しようとする夫婦(または、その代理人)が公証役場に赴いて、公証人が内容を読んで確認し、各当事者等が、公証人の目の前で署名捺印します。そのため、公正証書を作っておけば、後になって、その内容や名義を争われる心配は事実上無くなります。

離婚裁判と比較した場合の公正証書の利点については、どう思われますか。

裁判のような、長くて、コストがかかって、うつ状態になるほどのダメージを避けられることが、公正証書の一番のメリットです。 公正証書は、お互い話し合いで解決するというものです。

あと1つは、強制されるのではなく、任意の履行(この場合、支払いのこと)が期待できる、という点があります。というのも、判決というのは、どちらかが納得しないまま、終了してしまうものなんです。もちろん勝った方はいいですが、裁判である以上、勝ち負けは必ず出ます。離婚するしない、あるいは、お金の支払いだったら、支払えだとか、棄却するといった、裁判所の結論が出るわけです 。

しかし、公正証書の場合、お互い話し合いの中で納得して、それぞれ署名します。しかも、公証人という立場のある人の前で、約束する。いわば、誓約するわけです。

とはいえ、いざという時のことも気になるのですが、公正証書を作ったら確実に強制執行はできるのでしょうか?

いえ、公正証書を作るだけでは、強制執行はできません。強制執行の申立書の他に、最低限、公正証書の正本、公証役場でもらう執行文、送達証明書が必要になります。執行文というのは、公正証書を使って強制執行できますよ、という、公証人の宣言文みたいなもので、送達証明書とは、公正証書が相手に現実に届いていることの証明です。

なるほど。

ただし、この送達というのは、ただ相手の郵便ポストに入ればいいだけではありません。相手が現実に受け取りましたという、証明が必要です。そうすると、いざ差し押さえをしたいようなタイミングでこの送達を行ってしまうと、相手のほうで、「公正証書を使って何かやられるのかな」というのが分かってしまう、つまり受け取りを拒否されるというようなことはあると思います。

ですから、いざ差し押さえしたいっていうときに送達するのではなく、公正証書を作った直後に送って送達証明書をもらっておくと、後の手続きはスムーズです。いざ差し押さえしたい、となって、送達からやっていたのでは、時間がかかり過ぎます。強制執行といういざという時のことも考えて、公正証書を作っておくということが重要、ということですね。そういう意味では、セットで、次の3つの手続きをやっておくとよいです。公正証書を作るということと、執行をできますよという宣言をもらうということ、そして、相手に送達して、その証明書をもらっておくということです。

残念ながら、公証役場によっては、この3つ全部やってくれるとは限らないんです。ですが、経験豊富な専門家は、この点を含めて利用する公証役場を厳選していますので、依頼者にとっては、どの専門家に依頼するかが極めて重要になります。

なぜ、文言が曖昧な公正証書ではいけないのか。

公正証書に書かれている言葉の微妙な言い回しの違いによって強制執行まで時間がかかったり、そもそも、強制執行ができなかったり、といった場合があると聞きました。

それは、あります。強制執行の決定を出すかというのは、裁判所が最終的に判断します。それも、公正証書に書かれた文字だけを見て、判断するんです。ですから、公正証書の内容というのは、明確じゃないといけないんです。

具体例でいいますと、たとえば何かお金を支払ってもらう約束をする時に、「◯円の支払いを約束する」書き方になっていると、 強制執行ができるかどうかを判断する裁判所から「(支払いを強制するのではなく)支払いを『約束』するということを強制すればいい」、そういうふうに解釈されかねないです。例えば、「500万円の支払いを約束する」とか、そういう文言になっていると、相手が支払ってくれない場合に、500万円を支払わせる強制執行ができない可能性があります。ですので、やはり、書いてある文書は曖昧ではあっていけない。「解釈の余地」があってはいけないんですね。

「支払いを約束する」と書いてあった場合、「支払い」の強制執行なのか、もしくは「支払いの約束をすること」の強制執行なのか、と、二通りの解釈ができることになると、裁判所は判断できません。

そういう場合、「これは、強制執行できませんね」ってことにも成りかねません。裁判所と揉めたり、場合によっては、強制執行できない可能性もあるということです。

ですから、 公正証書を作るときには、「何を強制させたいのか」「何を強制して実行したいのか」ということを厳密に考える必要があります。これは、やはり、プロに任せるのが大事です。一般の方が、自分で手続きをするのは、危険すぎます。

公証役場できちんとした文章に直してもらえるとは、期待し過ぎないほうがいい。

それから、執行できるような文章になるように公証人に直してもらえるだろう、という期待も、あまり持ってはいけません。なぜかというと、公証人は元検察官か、元裁判官なんです。

検察官というのは刑事事件の担当ですので、お金のやりとり、離婚・家庭の問題などの民事は、全くやってこなかった方々です。同じ法律家とはいっても、民事と刑事ではいろいろと違います。ですので、きちんとした、強制執行ができる文章を書く知識と実務経験がある方は、きわめて稀です。

裁判官も、刑事事件ばかりやってきた方もいます。民事訴訟でお金の支払い等に関わってきた方でも、全員が、執行できるかどうかの文章の言い回しに慣れているわけではありません。ですので、必ずしも公証人だから、きちんと文章を作ってくれるだろう、ということは、あまり期待し過ぎない方がいいです。

それから、公証人も司法試験はとおっているんですが、試験科目に強制執行はないんです。ですから、実際に執行できる文章の書き方っていうのは、司法試験の受験勉強時代には、あまり勉強しません。だからといって、公証人として実務経験を積んでいるかというと、年配になってから、定年までの間、公証人になろうか、という方も多いですから。だから、そんなに、何十年と公証人としての実務経験を積んでいる方は、少ないと思います。

高橋先生の公正証書は具体的。漏れによる想定外の不利益防止に非常に配慮されている。

白川先生は、他の行政書士の書面を見ることもあるそうですが、実際に見てみて、他の行政書士と高橋行政書士の違いは。

まず、先ほどと重なりますが、強制執行を非常に意識されており、強制執行の時に公証人が判断に迷わない、裁判所が判断に迷わない、きちんとした言葉の使い方になっています。「これだと強制執行できますね」と、裁判所が判断できる書き方です。離婚に際して必要な項目が、漏れなくあがっているという印象です。ですから、養育費や財産分与等の金銭のやりとりはもちろん、どちらが親権者になるのかとか、また、支払いがなかった場合のリスクにも、配慮が非常にされているのが、他の方との顕著な違いです。公正証書を作った後のことを、よく考えられた内容だと思います。

たとえば、お子さんが就職した場合。高橋先生の公正証書では、養育費について、決まった年齢までは就職しても払う、という条項がありますが、この「就職」の定義付けなども、しっかりなされています。解釈の余地が分かれそうなところは、きちんと詳しく言い換えて説明している、というところが、すごく信頼できるところです。

あとは、お互いに離婚後は誹謗中傷しない、というようなところで、例があがっているというのも、かなり印象的です。他の行政書士さんでは、「名誉を害するようなことは言わない」等の内容は、そもそも、入っていないことが多いです。入っていても、ただ、名誉を害するようなことを言わないとか、公言しないとか、その程度のことが多いです。ただそうすると、たとえば「公言」するってなんなのか、っていう、解釈の余地が生じてしまう。高橋先生の公正証書は、その場合に考えられる方法というのがきちんと例示されている。具体的な例があがっているから、どんな事がいけないかっていうのが、分かります。常に、具体的に将来の紛争や、起こりうる事態を想定して書かれています。

他にも、高橋先生の公正証書は、それぞれの条項の目的や、趣旨が、具体的に書かれています。親としての責任を全うする、ということも含まれています。そもそも、なぜ、こういう公正証書を作るのか等や、なぜ面会交流が必要なのか等、当事者に非常によく分かるように書かれていて、自覚も促す効果が期待できます。他の公正証書では、なかなか見られないところです。

他の公正証書だと、弁護士が作る場合も、行政書士も、必要なことだけを書くという公正証書が、かなり多いです。執行とは関係ないところは、あまり書かない方が、多いですよね。

離婚する、というこの機会に、公の場で、きちんとした契約書を作るわけです。ですから、親として今後、どう子どもと関わっていくのか、といった宣言みたいなものや、お互いに自覚を促すこととか、色々出来ることってあると思うんです。高橋先生の公正証書で、それが実現されているというところは、かなり素晴らしいと思います。

高橋行政書士が、都内のある公証役場で「これは執行とは関係ないから書けない、公正証書とは別個に書面作ってくれ」と言われたことがあるそうです。でも依頼者からすると、やはり、公的な書面だからこそ、書いておきたいこともあります。

そうです。それは、公証人の回答が、間違っています。書けないっていう回答が、間違いなんです。

高橋行政書士の公正証書は、文章量としては、一般的な公正証書よりは多いと思いますが。

そうですね、特に「どうしてこういう約束をするのか」というところに、かなり字数をさいておられるのが印象的です。詳しく説明せずに一言で言ってしまうのは簡単ですが、それでは法律の専門家ではない一般の方、公正証書の当事者である依頼者には、なかなか伝わらないと思います。そういう点でも、文章量がある程度多いというのは意味のあることだと思います。

離婚専門の行政書士に頼むメリット

離婚問題で、行政書士に頼むメリットは、何でしょうか?

離婚で、話し合いで解決する場合は、公正証書が最もいいと思います。文章を作る専門性という意味で、行政書士さん、特に高橋先生は、離婚でずっとやっておられておりますので、経験が豊富です。

でも、弁護士で、離婚公正証書を作るということに関して専門性を有する人は、あまりいないと思います。弁護士は、裁判を戦って、依頼者の言い分を裁判で通して、という専門家です。争っている中で、事実は何なんだろう?浮気があったのか無かったのかとか、それに対して、証拠はあるのか無いのかとか、そういう証拠を集めていくことの専門家なので、必ずしも離婚公正証書を作る専門家ではないです。

だから、離婚公正証書のような法的な書類を間違いなく作る専門性という意味で、やはり、専門の行政書士さんに、お願いしたほうがいいということは、あります。

ただし、行政書士さんも、法律上、権限が限られてます。例えば、公正証書を使った強制執行は、弁護士が関わらざるを得ない面があります。また、揉めてる場合は、行政書士が紛争の助言をすることはできません。

シングルマザーになって生活していく上で、公的支援制度は欠かせないと思うんです。離婚した後、母子に対する公的支援制度の活用も、行政に強い行政書士の役割だと思います。

そうですね。

我々弁護士というのは、必ずしも行政の手続には精通していません。行政とのやりとりとか、行政の手続きの説明とか、そういったものは、やはり、詳しい行政書士さんが、適任です。

白川先生は、高橋行政書士の事務所の顧問になっているとお聞きしています。顧問弁護士の役割は何でしょうか。

顧問弁護士は、顧問先(高橋先生)が当事者となっている紛争に対応したり予防したりする役割を担っています。顧問先が最優先ですから、利益相反の関係上、顧問先の取引先や顧客の案件に関われないこともあります。なお、公正証書作成後の強制執行につきましては、高橋先生から引き継いで、私の方でご対応させて頂くこともあります。強制執行の場面で高橋先生と顧問弁護士が連携できるメリットはあるかと思います。

本日は、ありがとうございました。

取材日時 2011年9月

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